労働判例の部屋
似た事例であっても別の事件では、見解が異なる場合があります。
掲載した判例はひとつの事例として、参考程度としてご覧ください。
 
※ 中労委の裁定(命令)は、「労働関係トピックス」に掲載します。
 
 

61    スズキ社員過労自殺認定/静岡地裁 (2006/11/01)
 自動車メーカーのスズキ(静岡県浜松市)に勤めていた小松弘人さん=当時(41)=が2002年に自殺したのは過酷な業務やストレスが原因として、両親がスズキに約9,100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁浜松支部は30日、過労による自殺を認め、同社に約5,867万円の支払いを命じた。
 酒井正史裁判長は「月平均で約100時間もの時間外労働をさせ、上司がうつ病の発症をうかがわせる事実を認識しながら何ら措置を取らなかった」と指摘、安全配慮義務の違反を認めた。
 判決によると、小松さんは1983年に入社し、座席シート部門に勤務。2002年2月に四輪車体設計部門の責任者(通称課長)に就任後、仕事の重圧や長時間労働などからうつ病を発症し、同年4月、会社の屋上から飛び降り自殺した。
 判決に仮執行宣言が付いていたため、判決後に地裁浜松支部の執行官がスズキ本社で時価6,000万円相当の株券を差し押さえた。スズキは同日中に地裁浜松支部に執行停止の申し立てをした。
 

62    ヘルニアは公務災害/東京高裁 (2006/10/27)
 神奈川県立の養護学校教諭(52)が頸椎椎間板ヘルニアとなったのは公務が原因として、地方公務員災害補償基金神奈川県支部長に対し、公務外認定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は25日、請求を棄却した一審横浜地裁判決を取り消し、公務災害と認めた。
 江見弘武裁判長は「児童の介助作業で二度にわたって受けた傷とヘルニアの発症との間には、相当因果関係がある」と判決理由を述べた。
 判決によると教諭は1996年と翌年、児童を抱いて水を飲ませていた際、生徒が全身を反らせるなどしたため、約20分間にわたり身体を強く支え、首や手などに痛みやしびれを覚えた。その後病院で頸椎椎間板ヘルニアと診断された。教諭は公務災害認定を請求したが、同基金神奈川県支部長は2000年、公務外の災害と認定。取り消しを求め提訴したが、一審横浜地裁は「受傷前から進行していた症状が悪化した可能性もある」として請求を棄却した。

63    中労委命令を取消、運転士への除草命令を認める。/東京地裁 (2006/10/25)
 JR東日本が、公務執行妨害容疑で警察に逮捕、釈放された運転士に除草や清掃作業をさせたことに対する中労委の不当労働行為救済命令の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、命令を取り消した。
 中労委は、JRが運転士の組合活動を嫌ったとして不当労働行為を認定したが、難波孝一裁判長は「組合活動を嫌ったという証拠はない。運転士に猛省を促す意味だったとする方が自然で合理的」とした。
 判決によると、運転士は2000年7月、組合の臨時大会開催を中止させようとして、会場入り口付近で警備中の警察官に公務執行妨害容疑で逮捕された。JRは十数日後に釈放された運転士に運転業務をさせず、施設内の除草や宿泊施設のシーツ交換、掃除を命じた。同年9月には、八王子支社の課長が運転士に反省を促す趣旨の発言をした。
 東京都地労委は運転業務への復帰を命じ、課長の発言も不当労働行為(支配介入)に当たるとした。JRは再審査を申し立てたが、中労委は昨年10月、棄却した。

64    派遣会社に給与仮払い命令/名古屋地裁 (2006/10/20)
 静岡県浜松市の人材派遣会社に不当解雇されたとして、元社員の日系ブラジル人男性アントニオ・マルコス・ダローシャさん(35)が申し立てた地位保全の仮処分について、名古屋地裁は19日、同社に今後一年の給与約312万円の仮払いを命じる決定をした。
 決定で上村考由裁判官は「上司への暴言は懲戒対象になるが、解雇は相当性を欠く」とした。
 決定によると、ダローシャさんは2004年10月から通訳として同社に勤務。今年6月に有給休暇の申請方法を相談した際、上司に「ばかやろう」と言ったため、「職場の秩序を乱した」として同7月に解雇された。
 ダローシャさんは「派遣社員らと労働組合の分会を結成し、敵視されていた」と主張していた。

65    大学教授の「セクハラ」停職を取消/名古屋高裁 (2006/10/20)
 教え子の女子学生にセクハラ行為をしたとして、名古屋大から停職6カ月の処分を受けた大学院の男性教授(53)が、処分を不服として取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で名古屋高裁は19日、請求を棄却した一審判決を取り消し、懲戒処分を取り消した。
 野田武明裁判長は判決理由で、既婚者の教授と女学生との関係は社会通念上、好ましくないが「私的な領域の出来事」などと判断。「懲戒の理由となる違法性の高い行為ではない」とし、女子学生を言葉巧みに操り、性的関係を持ったとする大学側の主張は「裏付ける証拠がない」と退けた。
 判決によると、教授は1996年から1997年にかけ女子学生と性的関係を持ったとして、2001年3月に懲戒処分を受けた。
 一審の名古屋地裁は昨年3月、処分を妥当とし、請求を棄却していた。
 

66    発明対価に海外特許利益も含める/最高裁 (2006/10/18)
 CDやDVDなど光ディスクの情報読み取り技術を発明した日立製作所(東京)の元主管研究員米沢成二さん(67)が同社に対し、特許権譲渡の対価として約2億8,400万円の支払いを求めた訴訟の上告審判決が17日、最高裁第三小法廷であった。
 那須弘平裁判長は「特許法に基づき、海外で登録された特許で会社側が得た利益についても、それに見合った対価を請求できる」として、海外特許分も含め約1億6,300万円の支払いを同社に命じた二審東京高裁判決を支持。同社の上告を棄却し、米沢さんの勝訴が確定した。
 発明対価訴訟の判決で確定した支払額としては過去最高で、和解による決着を含めても、青色発光ダイオードを発明した中村修二氏の約8億4,300万円(遅延損害金含む)に次ぐ高額で、海外特許利益を含めるのは初めて。
 特許法は発明した社員が特許権や特許を受ける権利を会社側に譲渡した場合、会社側がその発明で得た利益などを考慮して算出した対価を請求できると定めているが、海外で登録された特許による利益を含めるかどうかについては明記されておらず、二審判決が海外特許分も認めたことから、上告審の争点となった。
 判決理由で那須裁判長はまず特許法の規定について「会社側と社員が対等の立場に立つことが困難であることなどから、社員の利益を一定範囲で保護するために定められている」と指摘。その上で「国内と海外の特許で、会社側と社員の立場が対等でないことなどに違いはない。特許の基となる発明は実質的に一つであり、特許法の規定が類推適用される」との解釈を示した。
 米沢さんは日立製作所に在職中の1973〜1077年、CDなどの再生装置に使われる情報読み取り技術などを開発。会社側に特許を受ける権利を譲渡し、同社は国内のほか、米国やフランスなどでも特許を登録した。米沢さんには社内規定に基づき、約230万円の補償金が支払われていた。米沢さんは1998年、発明に見合う対価を求めて提訴。2002年11月の一審東京地裁判決は国内特許による利益から算出した約3,480万円の支払いを命じた。2004年1月の二審判決は海外分も含め約11億7,000万円を会社側の利益とし、その14%を対価と認定。同社が不服として上告していた。

67    じん肺、またも国に責任/仙台地裁 (2006/10/13)
 国が発注したトンネル工事現場で粉じんを吸い、じん肺になった東北地方の患者ら138人が国に一人当たり330万円、計4億5,540万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は12日、国に2億7,060万円の支払いを命じた。小野洋一裁判長は「1986年11月以降、じん肺防止に向け国が省令を制定する規制権限を行使しなかったのは著しく合理性を欠き違法」と述べた。
 全国11地裁に提訴された同様の訴訟のうち7月の東京、熊本両地裁判決に続き3例目の判断で。しかし、熊本地裁では国の不作為を認めた時期を「旧じん肺法が施行された1960年4月以降」としたが、それが1986年とし後退した。(東京地裁判決は「1986年末ごろ」)
 小野裁判長は「ゼネコンなどが粉じん測定指針を出した1986年11月ごろには国が削岩機の改良や防じんマスク着用を義務付けるべきだった」と判断。原告のうち80人には請求通り一人当たり330万円、比較的症状の軽い6人には110万円を支払うよう命じる一方、1986年11月より前に粉じん作業から離脱した52人分の請求は棄却した。
 原告はじん肺患者の元作業員と遺族で、2003年4月に提訴。当初、一部原告がゼネコンにも賠償を求めたが、昨年7月までにゼネコンが計約4億8,000万円を支払うことで和解した。
 国は「適切に規制監督権限を行使した」と反論。賠償請求権の消滅時効( 3年)も主張したが、判決は「炭鉱労働者への国の責任を認めた2001年7月の筑豊じん肺訴訟福岡高裁判決から起算するのが相当」と時効成立は認めなかった。
 原告側は、発注者としての安全配慮義務違反も主張したが、判決は「個別の工事ごとの立証がない」と退けた。

68    ネスレ日本の7年経過後の懲戒処分は無効/最高裁 (2006/10/11)
 上司への暴行などを理由に食品メーカー「ネスレ日本」霞ケ浦工場(茨城県稲敷市)を懲戒解雇された冨田真一さん(49)ら2人が、社員としての地位確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷は6日、原告敗訴の二審東京高裁判決を破棄、解雇を無効として同社に未払い賃金の支払いを命じた。
 古田佑紀裁判長は「暴行から処分まで 7年以上経過している。長期間にわたって懲戒権を行使しなかった合理的な理由はなく、処分は権利の乱用に当たる」と判断した。
 判決によると、2人は体調不良で休んだ日を有給休暇と認めないことに抗議するなどし、1993年10月と1994年2月、上司の身体を壁に押しつけたり、指をねじ上げるなどの暴行を加えた。同社は2001年4月、その後の上司への暴言なども理由にして2人を懲戒解雇処分にした。同社は処分に時間がかかった理由について「警察の捜査結果を待っていた」などと主張したが、古田裁判長は「職場で就業中に起きた事件で目撃者もおり、捜査結果を待たなくても処分は可能だった」として退けた。
 2002年10月の一審水戸地裁龍ケ崎支部判決は「暴行を受けたとする上司の証言は疑わしく、解雇は無効」と判断。2004年2月の二審判決は逆に「証言は信用できる」と暴行を認定し、原告側の請求を棄却した。

69    JRのビラ撤去一部認める/東京地裁 (2006/10/07)
 JR東海が労働組合の掲示板からビラを撤去したことをめぐり、中労委から受けた不当労働行為救済命令の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は5日、ビラ10種類のうち7種類について、命令を取り消した。中西茂裁判長は「『会社の信用を傷つける』など要件を満たせば撤去できるとの合意がJRと労組にある」と指摘。7種類は会社の信用を傷つけたり、個人を誹謗したと判断した。
 判決によると、JR東海は1998年から1999年にかけて、大阪府摂津市の車両基地内の掲示板にジェイアール東海労組の下部組織が掲示した「JRは新幹線の車両故障の原因を社員に責任転嫁した」などとするビラ20種類を撤去した。
 大阪府労働委員会は労組の救済申し立てでビラ18種類について救済命令を出し、その後中労委が10種類に減らして救済命令を出した。

70    NTTリストラ訴訟「配転は違法」/札幌地裁 (2006/10/04)
 NTTグループが2002年に実施した10 万人規模のリストラに関連し、子会社への転籍拒否を理由に遠隔地へ配転したのは違法として北海道内の NTT 東日本社員ら5人(うち4人退職)が一人当たり300万円の慰謝料を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は先月29日、配転は違法と認め同社に総額300万円の支払いを命じた。内訳は道外に配転された一人に 100 万円、道内転勤の四人にそれぞれ 50 万円ずつ。
 笠井勝彦裁判長は「配転は業務上の必要性はなく、人事権の乱用」と指摘した。一方で、リストラについては「合理性のある経営判断」として違法性を否定し、リストラを拒否した見せしめの配転という原告の主張も退けた。
 2002年のリストラをめぐる裁判は全国7地裁で起こされており、昨年8月に名古屋地裁(福岡分を併合)で和解が成立。東京、静岡、大阪、松山の各地裁で係争中で、初めての判決となった。
 判決によると、NTT は2002年5月、保守点検や電話案内などに従事していた51歳以上の一部社員をいったん退職させ、賃金が30〜15%低くなる地域子会社に転籍させるリストラを実施。転籍に応じなかった社員は全国転勤がある雇用形態を選んだとみなされた。道内で札幌と小樽に勤務していた原告は一人が東京、4人が函館や釧路など道内の遠隔地に配転された。

71    ミドリ電化過重労働死労災不支給取消/津地裁 (2006/09/29)
 家電量販店ミドリ電化(兵庫県)に勤めていた男性が心疾患で死亡したのは長期間の過重労働が原因として、男性の母親( 59 )=大阪府羽曳野市=が遺族補償給付などを不支給とした津労働基準監督署の処分を取り消すよう求めた訴訟で、津地裁は28日、労災を認め処分を取り消した。
 水谷正俊裁判長は、約1年間にわたる過重な時間外労働や業務内容が精神的、肉体的負担を及ぼしたと認定。長期の過重労働は虚血性心疾患を発症させる危険性があり、ほかに発症原因がないことから、業務に起因するものであると結論づけた。
 判決などによると、男性は三重県鈴鹿市の店舗で売上金の管理などを担当していた2002年7月、帰省していた実家で就寝中に、虚血性心疾患で死亡した。男性は約1年間にわたり月80時間前後の時間外労働をしていたという。
 津労基署は2003年、業務と発症の因果関係が認められないとして、遺族補償給付などを不支給としていた。

72    1時間の残業で死亡も労災/大阪高裁 (2006/09/29)
 船舶の荷物積み降ろし作業後に心臓病で死亡した港湾労働者の男性=当時(48)=の遺族が、大阪西労働基準監督署長に遺族補償給付などの不支給処分取り消しを求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は28日、作業条件の厳しさなどから労災と認め、遺族の逆転勝訴とする判決を言い渡した。
 横田勝年裁判長は判決理由で、不整脈など男性の持病について「心臓病発症寸前までは悪化していなかった」とした上で、死亡までの勤務状況を検討。1 週間の残業時間が約 1 時間で、直前の2日間が休日だったため「負担が重いと断定するのはためらう」としたが、死亡時が夏で直射日光を浴びて作業していたことから「前の週に比べ厳しい業務となった」と判断。業務により心臓病が発症したと認定し、不支給処分を取り消した。
 判決によると、男性は1995年7月、大阪市住之江区で早朝から貨物船に鋼材を積み込む作業をしていたが、午後8時ごろ倒れているのが見つかり間もなく死亡した。作業現場に日よけはなく、最高気温は30度を超えていた。
 

73    スト不参加者への褒賞金は不当労働行為と認めず/東京地裁 (2006/09/29)
 JR東日本が労働組合のストライキに参加せず勤務した社員に褒賞金を支給したことをめぐり、中労委から受けた不当労働行為救済命令の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は27日、JR側の請求を認め中労委救済命令を取り消した。佐村浩之裁判長は「褒賞金の目的は労組の争議権行使を抑止することではなく、ストで過重勤務せざるをえなかった社員の労苦に報いること。不当労働行為ではない」と判断した。
 判決によると、動労千葉は1989年12月から1990年3月まで、雇用問題などを理由に計4回のストライキを実施。うち 1 回は1,339本の列車が運休し、約30万人に影響が出た。JRは1990年4月以降、ストとその前後の日に臨時勤務した社員に対し一人1日3,000円を基準に褒賞金を支給。支給対象は約2万人で、その総額は約2億5,000万円。
 千葉県地労委は93年3月、不当労働行為と認め、スト参加者に対しての褒賞金支給も命じた。JRからの再審査申し立てを受けた中労委は昨年9月、スト参加者への支給命令は取り消したが、不当労働行為との認定は維持した。

74    ビラ配布は正当な組合活動に非ず/東京地裁 (2006/09/27)
 同僚運転士に労働組合のビラを配布した組合員に対する厳重注意処分をめぐり、JR西日本が中労委から受けた不当労働行為救済命令の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日、命令を取り消した。
 難波孝一裁判長は判決理由で、同僚運転士はビラの受け取りを拒んでおり、乗務前の意識の集中を妨害されたと指摘。「ビラ配布は職場の秩序を乱す行為で正当な組合活動と言えず、厳重注意は不当労働行為に当たらない」と述べた。
 判決によると、JR西日本労働組合(JR西労)の組合員は2001年9月20日、JR尼崎駅(兵庫県尼崎市)付近の路上で、会社の安全対策を批判する内容のビラを配布。西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)に所属する運転士の一人が「乗務に向かう途中に、無理にかばんにビラを押し込まれた」などと上司に報告し、JR西日本は翌月16日、大阪支社長名の文書で、ビラを配布したJR西労の組合員に厳重注意した。
 
 兵庫県地労委はJR西労側の救済申し立てを棄却。中労委は昨年11 月、一転して救済命令を出した。

75    解雇無効・賃金支払い命令/大阪地裁 (2006/09/08)
 大阪市淀川区の金属加工会社「関西金属工業」の従業員ら10人が理由なく解雇されたとして、同社に地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は6日、定年を迎えた一人を除く9人の地位を認め、賃金の支払いを命じた。
 会社側は、労働契約をいったん解除、新たな条件で再雇用を募集する「変更解約告知」に10人が応じないため解雇したと主張したが、山田陽三裁判長は「全員が応募しても6人は採用しないとの計画で、実際は整理解雇と同じ」と指摘。「人件費を削減する必要はあったが、10人を削減する必要性は立証されていない」とし、解雇は無効と結論づけた。
 判決によると、同社は2004年3月、従業員に変更解約告知などを申し入れたが10人は応募せず、5月に解雇された。

76    過労自殺、退職後も労災/東京地裁 (2006/09/06)
 過重な労働でうつ状態となり、兵庫県加古川市の無認可保育所を退職後に自殺した保育士岡村牧子さん=当時(21)=の父昭さん(70)が死亡を労災と認めなかった国の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は4日、請求を認め、処分を取り消した。
 難波孝一裁判長は「業務によって発病し、うつ状態が治らずに自殺したと認められる。自殺の原因が業務ではないとした労働基準監督署の処分は違法」と判断した。
 牧子さんは1992年9月に保母(現在の保育士)の資格を取得。翌1993年1月から無認可保育所に勤務し、月曜から土曜まで12時間勤務が続いた。3月末には、同僚の保育士6人全員が退職し、4月から新人5人を責任者として指導することになった。3月31日に病院で適応障害と診断され、入院のため退職。翌日退院したが、うつ状態が続き、4月29日に自宅で自殺した。
 
昭さんは同 12 月、加古川労働基準監督署に労災申請したが、同労基署は「退職、退院で障害は治っていた」として認めなかった。労働保険審査会への再審査請求も昨年3月に棄却され、同6月に提訴した。
  昭さん夫妻は保育所の経営会社に損害賠償請求訴訟も起こし、1998年8月の大阪高裁判決は業務と自殺との因果関係を認め、経営会社に約570万円の支払いを命令。2000年に最高裁で確定している。
 退職後の過労自殺で労災が認められたケースについて、厚生労働省労働基準局補償課は「把握している限りない」とのこと。

77    三井生命所長過労死訴訟が和解/大阪地裁 (2006/08/25)
 三井生命保険(東京)の営業所長だった渡辺一洋さん=当時(32)=が死亡したのは過労が原因として、妻らが会社に損害賠償などを求めた訴訟は22日、会社が和解金など7,500万円を支払うことなどを条件に大阪地裁(大島真一裁判長)で和解が成立した。遺族は約1億4,000万円の損害賠償などを求めていた。会社側は和解金4,290万円と、特別見舞金など3,210万円を支払う。
 訴状によると、渡辺さんは1997年10月、同社高松支社丸亀営業所長に就任。社員の指導に加え、新規顧客開拓のノルマを課され、残業や休日出勤を繰り返し、2000年8月に心筋梗塞で亡くなった。
 原告側は、死亡直前の厳しい勤務状況を立証するため、渡辺さんの携帯電話の発信やメールの履歴なども調べた。
 高松労働基準監督署は2003年12月、渡辺さんの死亡を労災認定した。

78    新入社員超過勤務月100時間で自殺が和解/東京地裁 (2006/08/03)
 栃木県の加工食品卸会社に入社約8カ月後に自殺した男性=当時(23)=の両親が、月100時間を超える時間外労働を放置し安全配慮を怠ったとして、勤務先に1億2,000万円の損害賠償を求めた訴訟は31日、会社側が約 2,000万円を支払うことなどを条件に東京地裁で和解が成立した。
 原告代理人の川人博弁護士によると、会社側は「36協定」を超える残業があったことも認め、再発防止を約束した。
 訴状によると、男性は2002年4月に入社。研修終了後の同年10月から営業マンとして働いたが、残業や休日出勤は月に 100時間を超えた上、取引先とのトラブルやノルマ達成、社用車での交通事故などによるストレスからうつ病になり、同年12月に自殺した。
 遺族は2003年5月に労災認定を申請したが、真岡労働基準監督署は「業務外の災害」として認めていない。

79    コマツ過労自殺、遺族と和解/東京地裁 (2006/08/03)
 仕事の性質上、勤務時間などが労働者に委ねられる裁量労働制の職場で働き、過労自殺した諏訪達徳さん=当時(34)、神奈川県平塚市=の遺族が長時間勤務を放置したなどとして、勤務先の機械メーカー「コマツ」(東京)に計約1億8,000万円の損害賠償を求めた訴訟は東京地裁(湯川浩昭裁判長)で和解が成立した。
 原告代理人の弁護士は「和解内容はコマツの意向で公表できないが、納得できる内容」と話している。同弁護士によると、裁量労働制下の過労自殺をめぐり、勤務先の責任を追及した訴訟の初の和解とみられる。
 訴状によると、諏訪さんは1984年、コマツに入社し、1998年秋から裁量労働制の職場へ異動。1日11〜18時間働き、うつ病となって1999年12月に自殺した。
 平塚労働基準監督署は2002年「自殺は過労が原因」と労災認定し、遺族は2003年7月に提訴した。
 

80    北海道じん肺訴訟も和解/札幌地裁 (2006/07/27)
 北海道内の炭鉱で働き、じん肺になった患者ら229人が国に総額約26億円の損害賠償を求めた北海道新石炭じん肺訴訟で、原告のうち121人が21日、札幌地裁(笠井勝彦裁判長)で和解した。
 賠償金は一人当たり約900万〜400万円で、総額約8億円。弁護団によると、和解条項には、国による謝罪と粉じん対策に努めることなどが盛り込まれている。
 北海道新じん肺訴訟は1940〜90年代に道内の炭鉱で働き、じん肺になった患者や遺族が昨年10月からことし3月にかけて順次提訴。昨年12月の第1回口頭弁論で、国は和解に応じる方針を表明していた。
 石炭じん肺訴訟をめぐっては、筑豊じん肺訴訟と第一次北海道訴訟の最高裁判決で国の賠償責任が認められ、ことし3、4月には西日本じん肺訴訟の福岡、熊本両地裁で和解が成立している。



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